センター長 田中榮司

肝疾患診療連携拠点病院と肝疾患診療相談センターについて

肝疾患診療相談センター長
信州大学医学部附属病院  肝疾患診療相談センター 教授 松本晶博

 ウイルス肝炎治療の進歩は著しく、肝疾患診療相談センターが発足した2010年には、インターフェロン治療ではおよそ半分しか治らなかったC型肝炎患者さんが、経口抗ウイルス剤の登場によりほとんどの方がウイルスを除去することが出来る様になりました。 また、B型肝炎においても副作用の少ない経口抗ウイルス剤が開発され、肝炎のコントロールが可能になりました。それに伴い、重症の肝硬変に罹る方や肝細胞癌を発症する方が減少してきています。 これは医学の進歩が人類にもたらした恩恵の一つといって良いでしょう。

 しかしながら、まだ、その恩恵にあずかることが出来ない方が多く残っていることが問題となっています。 厚生労働省の調査では、人口の数パーセント、数百万人いると言われているウイルス肝炎患者さんのうち、検査を受け、適切な医療を受けている方はおよそ半分と言われています。肝臓は「沈黙の臓器」と言われ、肝炎に罹ってもほとんど自覚症状がないため、適切な検査を受けなければ自分がウイルス肝炎に罹っていることを知ることは出来ません。 そのため、未だに感染を知らないでいる方が日本全国で数十万人、長野県だけでも一万人以上いると推定されています。このような方に、いかに適切な検査を受けて頂き、適切な治療を行っていくかが今後の大きな課題です。

 また、治療により肝炎が治まっても肝細胞癌が発症する方がおられることが分かっています。治療後に放置していた患者さんの中には肝細胞癌が発症しているのに気づかず、症状がでて慌てて受診したときにはすでに手遅れになっている方が未だに見受けられます。 治療後も定期的な検査を受けていくことが重要です。

 肝疾患診療相談センターは、全ての人々が適切な検査と適切な医療を受けられることを目指して活動していきたいと思います。